
エコキュートの購入・設置には高額な費用がかかるため、できるだけ長く使いたいと考える方も多いでしょう。「エコキュートの寿命はどのくらいなのか」「どうすれば長持ちするのか」という疑問をお持ちの方は少なくありません。
この記事では、エコキュートの平均寿命や寿命を延ばすための具体的な方法、そして定期的なメンテナンスの重要性について詳しく解説します。適切なケアを行うことで、エコキュートの性能を維持し、長く快適に使い続けるためのポイントを紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。

エコキュートの寿命を延ばすと何年までいける?

エコキュートの平均寿命は、一般的に13〜15年ですので、どれだけ延びても耐用年数の前後が限度になります。給湯効率も下がりますし、故障のリスクも徐々に高くなるからです。
メンテナンスや使用環境の管理によって寿命を延ばすことも可能で、20年近く使用している例も見たことがあります。寿命は、設置状況や使い方など、耐用年数以外の面でも影響を受けて前後します。
なお、エコキュートの寿命について詳しくは、ぜひ以下のページをご覧ください。本記事では、どうしたら長持ちするのかをメインにお伝えします。
▶︎ エコキュートの寿命は何年?故障の原因や替え時のサイン・症状とは?
故障・寿命を判断する基準・症状
現在、お使いのエコキュートが故障しているのか、それとも寿命を迎えているのかを判断したい方もいるはずです。
まず、13年以上使用しているエコキュートに不具合が生じた場合は、寿命を疑いましょう。耐用年数が近くなっていることで、故障のリスクが高くなっています。
具体的な故障や寿命のサインとしては、以下のような症状が挙げられます。
故障や寿命のサイン
- お湯の温度が安定しない、または設定温度まで上がらない
- 異音や振動が発生する
- リモコンがエラーコードを頻繁に表示する
- お湯が出なくなる、または出が悪くなる
- 水漏れが発生する
- 電気代が急に高くなる
それぞれの症状が単独で発生した場合は、部品の交換や修理で対応できることもあります。しかし、複数の症状が同時に現れたり、修理を繰り返したりする状況になると、エコキュートは寿命を迎えていると考えましょう。
▶︎ エコキュートの修理が必要な故障の症状は?費用の目安や安くするコツを解説
寿命だと思ったら買い替えがおすすめ
エコキュートが寿命を迎えたと判断した場合、以下の理由から修理ではなく買い替えを検討するのが賢明です。
買い換えがおすすめの理由
- 新しいモデルはより省エネ性能が高く、機能も充実している
- メーカーは本体の製造停止から約10年間以降は部品の入手が困難になる
- 修理と新品への買い替えであまり費用が変わらなくなる
エコキュートが寿命を迎えたと判断できる場合は、修理よりも買い替えを選びましょう。詳しくは、以下のページで解説しているので、ぜひ参考にしてください。
▶︎ 15年?エコキュートの買い替えタイミングの目安と寿命を延ばす使い方
エコキュートの寿命は延ばして元を取ることが重要
エコキュートは一般的に本体価格と設置工事費を合わせると、約50万円前後の費用がかかります。この高額な初期費用を考えると、できるだけ長く使用して「元を取る」ことが重要になってきます。
50万円のエコキュートを10年間使用した場合、1年あたりのコストは5万円です。15年間では約3万3,000円、20年使用できれば2万5,000円まで下がります。そして、ガスに比べた時のコストも計算の内に入りますが、ガスの基本料金・使用料一部を支払わない事も考えますと、少なくとも月々2000~3000円は浮いてますので、実質10年になりますと、1年で、14000~26000円しかかかってません。15年になりますと、1年で、0~9000円しかかかってません。20年になりますと、1年で、ほぼかかりません。ガスとの比較で、どれだけ元が取れているかわかりやす
いと思います。エコキュート設置の効果は絶大なのがわかります。そして、太陽光が設置されていれば、太陽光でお湯を作れば、さらに効果が倍増します。
つまり、エコキュートの寿命を延ばし、修理費をかけなければ、初期投資に対する費用対効果(コスパ)は高まるのです。
では、エコキュートの寿命を延ばすためには具体的にどのような方法があるのでしょうか。次の章では、エコキュートを長持ちさせるための方法を紹介します。
エコキュートの寿命を延ばして長持ちさせる4つの方法

エコキュートの寿命を延ばして長持ちさせる方法は、以下の4つです。
エコキュートの寿命を延ばして長持ちさせる方法
- 定期的にメンテナンスする
- 設置エリアに適したエコキュートを使う
- 水質に対応したエコキュートを使う
- 入浴剤を使わない
定期的にメンテナンスする
エコキュートの寿命を延ばすもっとも基本の方法は、定期的なメンテナンスです。部品に与える影響を減らして、故障を引き起こすリスクを最小限に抑えられるからです。
例えば、貯湯タンク内部は、通常の使用では目に見えない場所であり、水垢やカルシウム、マグネシウムなどのミネラル成分が蓄積しやすくなっています。この汚れが溜まると、熱交換効率が低下し、エコキュートの性能が落ちるだけでなく、部品の劣化も早まります。
なお、フィルター掃除や配管の洗浄などの具体的なメンテナンス方法については後述しますのでそちらをご覧ください。何もしない状態よりも、日々のメンテナンスを行うだけでずっと寿命を延ばしやすくなります。
設置エリアに適したエコキュートを使う
エコキュートの寿命を延ばすためには、設置する地域の環境に適したタイプを選ぶことも重要です。エコキュートには、一般地向け、寒冷地向け、耐塩害仕様という3つのタイプがあります。
例えば、寒冷地に一般地向けのエコキュートを設置すると、冬季の厳しい寒さによって配管が凍結したり、ヒートポンプの効率が著しく低下したりしやすいです。そのため、外気温がマイナス25℃でも運転できる「寒冷地仕様」のエコキュートの使用が基本です。
一方で、海岸沿いの地域では、潮風に含まれる塩分がエコキュートの金属部分を腐食させる恐れがあります。このような地域では「耐塩害仕様」のエコキュートを選ぶことで、塩害による劣化を防ぎ、寿命を延ばしましょう。
設置環境に適したエコキュートを選ぶだけでも、過酷な環境下でも性能を維持し、長期間にわたって安定して使用できます。
水質に対応したエコキュートを使う
エコキュートの寿命に影響するもう1つの要因が、水質です。なかでも、井戸水には地域によって硬度(カルシウムやマグネシウムなどのミネラル成分の含有量)や鉄分、硫黄分などを多く含むことがあります。
こうした成分が多い水を使用すると、エコキュートの内部に水垢やスケール(固形物)が付着しやすくなりやすいです。また、熱交換効率の低下や配管の詰まり、部品の劣化を早める原因ともなります。
水質検査の結果にもとづいて、その水質に対応したエコキュートを選ぶか、または水質改善のための装置(軟水器など)の設置を検討しましょう。メーカーによっては井戸水対応のエコキュートを販売している所もあるため、寿命を延ばすためにも日々の影響を減らすことが大切です。
入浴剤を使わない
追い焚き機能付きのエコキュートを使用している場合、入浴剤には注意が必要です。エコキュートメーカーは、追い焚き機能を使用する際の入浴剤の使用を推奨していません。
その理由は、入浴剤に含まれる成分が配管内に残留し、循環ポンプや配管の詰まりや腐食の原因となるからです。硫黄や塩分、酸、アルカリなどを含む入浴剤は、エコキュートの部品に悪影響をおよぼすことが多いです。
ただし、メーカーによっては特定の入浴剤、例えば「バブ」「バスクリン」「きき湯」「バスロマン」などのみ使用可能としている場合もあります。必ずお使いのエコキュートの取扱説明書を確認し、推奨している入浴剤のみを使用するようにしましょう。
なお、入浴剤を使用した後は、自動配管洗浄機能を「入」にするなど、配管内の清潔さを保つための対策も重要です。

エコキュートの寿命を延ばす4つのメンテナンス
エコキュートの寿命を延ばすための具体的なメンテナンス方法として、以下の4つが重要です。
メンテナンス方法
- フィルター掃除
- 水抜き
- 風呂配管の洗浄
- 給水口ストレーナーの掃除
フィルター掃除
フィルター掃除は、週に1回から月に1回程度の頻度で行うことをおすすめします。家族が多い家庭や、毎日お風呂を使用する家庭では、こまめな掃除が効果的です。
フィルター掃除の手順
- 浴槽のフィルターカバーを外す
- フィルターを取りだす
- 水で軽く洗い流し、髪の毛などのゴミを取り除く
- 歯ブラシなどを使って細かい汚れも丁寧に落とす
- 水でよくすすいだ後、元の位置に戻す
フィルター掃除を怠ると、循環不良によるエラーの発生や、最悪の場合はポンプの故障につながる可能性もあります。簡単な作業ですが、エコキュートの寿命を延ばすためには欠かせないメンテナンスです。
水抜き
エコキュートの内部を清潔に保って寿命を延ばすためにも、水抜きは半年に1回程度を目安に行うことをおすすめします。普段からお湯が汚れやすい、または白い浮遊物を見る機会が多い方は、もう少しこまめに水抜きを行うと良いでしょう。
水抜きの手順
- エコキュートの電源を切る(漏電遮断器をOFFにする)
- 給水止水栓を閉める
- 逃し弁のレバーを上げて、タンク内の圧力を抜く
- 排水栓を開けて、タンク内のお湯を排出する
- タンク内が空になったら排水栓を閉める
- 給水止水栓を開けて、新しい水を入れる
- 電源を入れる(漏電遮断器をONにする)
水抜き作業を行う際は、タンク内のお湯が熱いので、やけどに注意しましょう。排水の際には大量の水が出ることから、排水溝の準備も必要です。
風呂配管の洗浄
風呂配管の洗浄は、エコキュートと浴槽をつなぐ配管内の汚れを取り除くためのメンテナンスです。皮脂や石鹸カスなどの汚れを取り除くためにも、半年に1回程度を目安に行うことをおすすめします。
風呂配管の洗浄手順
- 浴槽に湯を張る(浴槽のあふれ口から5~10cm下まで)
- 市販の風呂釜洗浄剤を指定量入れる
- 追い焚きボタンを押して、30分程度循環させる
- 循環後、浴槽のお湯を排水する
- 浴槽に水を張り、再度追い焚きボタンを押して5分程度循環させる(すすぎ)
- すすぎ用の水を排水する
洗浄剤を使用する際は、製品の使用方法をよく読み、指示にしたがって作業を行ってください。洗浄後は必ずすすぎを行い、洗浄剤が配管内に残らないようにすることが重要です。
日常的には自動配管洗浄機能を使用して配管内を清潔に保ちつつ、定期的に市販の風呂釜洗浄剤を使った本格的な洗浄を行うと良いでしょう。
給水口ストレーナーの掃除
給水口ストレーナーは、エコキュートに水を供給する際に、水中の異物や不純物を取り除くフィルターの役割を果たしています。
給水口ストレーナーの掃除は、半年に1回程度を目安に行うことをおすすめします。貯湯タンクの水抜きを行う際に合わせて掃除すると効率的です。
給水口ストレーナーの掃除手順
- エコキュートの電源を切る(漏電遮断器をOFFにする)
- 給水止水栓を閉める
- 給水口のキャップを外す
- ストレーナーを取りだす
- ストレーナーに付着した汚れを水で洗い流す
- 汚れが落ちにくい場合は、歯ブラシなどで軽くこすり落とす
- ストレーナーを元の位置に戻し、キャップを取り付ける
- 給水止水栓を開け、水漏れがないことを確認する
- 電源を入れる(漏電遮断器をONにする)
給水口ストレーナーの掃除を行う際は、小さな部品を紛失しないように注意しましょう。ストレーナーを取り外した際に少量の水が出るので、タオルなどを用意しておくと安心です。
エコキュートのメンテナンスは専門業者にも依頼できる

自分でできるメンテナンスに加えて、専門業者に依頼するメンテナンスも定期的に行うことをおすすめします。専門業者によるメンテナンスでは、一般の方では難しい部分の点検や清掃、部品の状態確認などを行ってもらえます。
業者に依頼するメンテナンスの費用相場は、一般的に1万円から3万円程度です。内容によって価格は変動しますが、基本的な点検や清掃に加えて、漏電遮断器や逃し弁の動作確認、各種センサーの点検なども行ってもらえます。
専門業者によるメンテナンスは、1年に1回または2年に1回程度の頻度で行うのが理想的です。設置から5年以上経過したエコキュートは、部品の劣化が進んでいる可能性もあるため、定期的な専門点検が重要になります。
自分でメンテナンスを行うのが難しい場合や、不安がある場合は、すべてのメンテナンスを業者へ依頼することも可能です。エコキュートの状態を専門家の目で確認してもらうことで、小さな異常も早期に発見し、トラブルを未然に防ぐことができます。
メンテナンス詐欺には要注意
エコキュートのメンテナンスを業者に依頼する際は、メンテナンス詐欺に注意が必要です。近年、「点検商法」と呼ばれる悪質な商法が増加しており、エコキュートの所有者を狙った詐欺も報告されています。
典型的なメンテナンス詐欺としては、以下の手口があります。
典型的なメンテナンス詐欺の手口
- 「自治体や管理会社から依頼された」と偽って訪問する
- 「無料点検」と称して訪問し、実際には不必要な修理や部品交換を勧める
- 「このまま使用すると危険」などと不安をあおり、高額な修理や買い替えを迫る
- 実際の市場価格よりも高い料金を請求する
このような詐欺から身を守るためには、以下の点に注意しましょう。
注意点
- 突然の訪問や電話による点検の申し出には応じない
- メンテナンスを依頼する際は、複数の業者から見積もりを取る
- 見積もり内容や料金が不明確な業者は避ける
- 信頼できる業者(メーカー認定店や実績のある地元の業者など)に依頼する
エコキュートのメンテナンスは重要ですが、信頼できる業者に依頼することで、安心して適切なメンテナンスを受けることができます。
まとめ
エコキュートの寿命を延ばすためには、定期的なメンテナンスが欠かせません。寿命を延ばすために自分でできるメンテナンスとしては、以下が挙げられます。
メンテナンス
- フィルター掃除
- 貯湯タンクの水抜き
- 風呂配管の洗浄
- 給水口ストレーナーの掃除
設置環境に適したエコキュートを選ぶことや、水質に対応した機種を使用すること、入浴剤の使用に注意することも重要です。気を配ることで、エコキュートの寿命を最大限に延ばし、初期投資に対する費用対効果を高めることができます。
エコキュートは適切なケアを行うことで、10年以上の長期間にわたって使用できます。この記事で紹介したメンテナンス方法を実践して、エコキュートを長持ちさせ、快適な生活を続けましょう。

よくある質問(FAQ)
エコキュートで故障の多いメーカーは?
特定のメーカーが故障しやすいということはありません。どのメーカーのエコキュートも、適切なメンテナンスを怠ると故障する可能性があります。
大切なのは、メーカーの選択よりも、設置後の定期的なメンテナンスと適切な使用方法です。エコキュートの寿命を延ばすためには、この記事で紹介したメンテナンス方法を実践し、定期的なケアを行うことが何よりも重要です。
関連記事:故障しないエコキュートは実在する?メーカーごとの保証期間や寿命を延ばす工夫を解説
エコキュートが壊れる前兆は?
エコキュートが壊れる前には、いくつかの前兆が現れることがあります。
壊れる前兆
- お湯の温度が安定しない、または設定温度まで上がらない
- 異音や振動が発生する
- リモコンにエラーコードが頻繁に表示される
- お湯の出が悪くなる
- 水漏れが発生する
- 電気代が急に高くなる
この症状が見られた場合は、早めに点検や修理を依頼することをおすすめします。小さな異常を放置すると、より大きな故障につながる可能性があります。
エコキュートの買い替えサインは?
エコキュートの買い替えを検討すべきタイミングとしては、以下のようなサインを見つけたときです。
買い換えのサイン
- 設置から10年以上経過している
- 修理を繰り返している
- 修理費用が高額になっている
- 部品の供給が終了している
- 省エネ性能が低下している
- 家族構成の変化などで容量が合わなくなっている
設置から10年以上経過したエコキュートは、部品の劣化が進んでいると考えられます。修理よりも買い替えを検討した方が、お財布に優しいこともあります。